【コラム】2016年02月15日
ひとつのチャンスに懸けていきたい
国際スキージャーナリスト岩瀬孝文氏によるスペシャルコラム。2016年のウィンターシーズンの茂野選手の様子を覗きます。
地元の札幌W杯と蔵王W杯において、ともに予選落ちをしてしまい、本戦には出場ならなかった茂野美咲(CHINTAIスキークラブ)だった。
札幌にある北翔大学を卒業後に、居酒屋ジャンパーとの異名ながら個性的なトレーニングで飛距離を伸ばして2010オスロ世界選手権には日本代表となり、将来を嘱望されていたが、2014ソチ五輪には出場できずに終わっていた。
その後、足首のケガもあり、思うような練習ができないままに今季のシーズンインであった。
「あのケガはもう大丈夫です!」
そう、明るいままに語る茂野であるが、そこに飛距離が伴っておらず、あのかつて見せたような、あふれる闘志と自信は、まるでどこかへ行ってしまったかのよう。
あとひと踏ん張り、自分のジャンプを信じて、国内試合を転戦する。
その先にはどのような展望があるかは、もはや自分の想いひとつなのであるまいか。
もともと、後輩の面倒見の良さがあり、人望が厚くその明るさで人を魅了してやまない。
それも新潟から単身、札幌へとジャンプ留学した強き心がある彼女だからだ。
チャンスはいま一度、目の前にすっくと聳え立つ。
心機一転、そこに決断のときを迎える。
また、羽ばたいてみようと。
(文・写真 岩瀬孝文)