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茂野美咲 スペシャルコラム

【コラム】2015年11月11日

秋の陽差しを大切に。「切磋琢磨」

国際スキージャーナリスト岩瀬孝文氏によるスペシャルコラム。この夏、苦悩し続けた茂野選手の姿と彼女へのエールを込めて。

秋深い宮の森も大倉山もじつに空気が綺麗だった。
そこに茂野美咲が飛んでくる。
しかし、とことん飛んだつもりが力みなのか、いまひとつ不十分なメーターで口を結んだ。

『思うような飛距離が出てくれなくて…』

いま、必要なのはなんであろう
春から地道に続けてきたウエイトコントロールは成功してきている。
ハードに挑んだ筋力トレーニングも順調だ。

ひとつ心配なのは足首のケガによる出遅れと、焦り。

8月後半に、長野白馬サマーフランプリの前座となったNBS杯女子ジャンプで、ラージヒルに出場する手段もあったが、脚部のリハビリとケアから、それを回避し、満を持して臨んだ塩沢サマー大会は7位。
その後の妙高サマー大会は12位に終わっていた。

生まれ育った故郷で優勝する力強さがほしかった。
それも友人や両親の応援が本当にうれしい地元新潟であった。

続いて10月半ばの全日本女子チーム合宿を経て、名物のホルモン鍋を少しだけ食べて、その地で開催された鹿角ジャンプ大会は19位。
なかなか調子が上がってこないのだ。

ひとときおいて札幌に戻り、宮の森と大倉山でジャンプトレーニングに汗を流す。
サマーファイナル伊藤杯は降雪と強風の悪天候で朝9時過ぎには中止の決定。
優勝杯は、11月1日(日)の全日本選手権ラージヒル兼NHK杯に持ち越された。

10月31日(土)には宮の森で全日本選手権ノーマルヒルが行なわれた。
そこで狙えていけそうな気風に包まれたが、失速して16位、翌日の大倉山ラージヒルは14位。

「バランスがよくないんです、どうにも」
それはボディバランスに加えて、心のバランスなのか。
治すきっかけは? どうであろう。

ジャンプ選手としてはベテランの域に入る29歳の誕生日、11月5日には午前中の宮の森でみんなに囲まれ祝ってもらった。そこで『ありがとう』と、しばし笑顔に包まれた。

2010オスロ世界選手権日本代表の意地と、試合中の巧みな駆け引きを有する。
それをさらに活かしていくために、考えトレーニングして、ジャンプする。その繰り返しだった。
そこには、何かしらのひらめきも必要であろう。

もちろんすべてにおいて、あきらめてはいない。とことんやるだけ前に進むだけ。
頑張っていこう、ひたむきに。

応援してくれるファンの皆さん、両親や友人たちに感謝の気持ちをこめてジャンプする。
札幌の西、手稲山に沈む夕陽に向かって、ふうとため息をひとつ。
そしていつものロングランニングに出ていく。

『やるべきことさえ、やれていれば…』
マイペースな気運ながら、そこに焦りは禁物だ。
いずれ見えてくれであろうオリジナルのジャンプテクニック。
そのときこそ勝利への確かなステップを刻むことになる。

女子W杯代表へ。まずは国内枠で出場、一歩一歩だ。
あのサッツから弾丸のように飛び出す、彼女ならではのパワージャンプ、もう一度それを観たいというファンも多い。

メンタルを強く、そこで魅せていこう。
この冬は、である。




(文・写真 岩瀬孝文)

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